被害者ガイド

送金先はどうやって追跡できる?ブロックチェーンの基礎知識

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結論

ブロックチェーンの送金記録は誰でも無料で閲覧できる公開情報です。 トランザクションID(TXID)を起点に「次の送金」を1件ずつたどることで、 資金が最終的にどの取引所へ着金したかまで追跡できます。

当社の調査では、およそ9割が取引所まで到達しています(ホップ数はおおむね3〜10)。

ただし、追跡で分かるのはアドレスと金額の流れまでです。 取引所口座の名義人情報の開示には捜査機関の手続きが必要で、調査会社が資金を凍結・回収することはできません。

「仮想通貨は匿名だから追跡できない」と思われがちですが、実際にはブロックチェーンの仕組み上、 送金の記録は誰でも確認できる形で公開されています。ここでは、なぜ送金先を調査できるのか、 基礎的な仕組みを解説します。

仮想通貨は匿名だから追跡できない?

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、ブロックチェーンと呼ばれる分散型の台帳の上で管理されています。 この台帳には、いつ・どのアドレスから・どのアドレスへ・いくら送金されたかという記録が、 取引が発生するたびに追加され、後から書き換えることができません。そして、この記録は誰でも無料で閲覧できます。

トランザクションハッシュ(TXID)とは?

1件1件の送金には「トランザクションハッシュ」(TXIDとも呼ばれる)という固有の文字列が割り振られます。 これは送金の「レシート番号」のようなもので、この番号を「ブロックエクスプローラー」と呼ばれる 無料の検索ツールに入力すると、送金元・送金先・金額・日時が誰でも確認できます。 チェーンごとに使うサイトが異なり、ビットコインならmempool.space、 イーサリアムならEtherscanが代表的です。

被害に遭った際、ウォレットアプリや取引所の取引履歴からこのトランザクションハッシュを確認できます。 これが送金先追跡の出発点になります。

なぜ第三者が送金先を追跡できる?

詐欺師が指定した送金先アドレスも、ブロックチェーン上では他のアドレスと同様に扱われます。 そのアドレスが次にどこへ送金したか(あるいは何も動かしていないか)も、同じように公開情報として確認できます。 この「次の送金」を1件ずつたどっていくことで、資金がどのルートを通ったかを追跡できます。

資金は最終的に、取引所の入出金用アドレスに到達することが多くあります。 取引所は口座開設時に本人確認(KYC)を行っているため、捜査機関からの正式な照会があれば、 そのアドレスの持ち主(=出金した人物)の情報が特定できる可能性があります。 これが、送金経路の追跡が警察への被害届において意味を持つ理由です。

送金経路の追跡で、何が分かって何が分からない?

ブロックチェーン調査の範囲
追跡で分かること追跡では分からない・できないこと
送金元・送金先アドレス、金額、日時アドレスの持ち主の氏名・住所
資金が経由したアドレスの並び(送金経路)取引所口座の名義人情報(捜査機関からの正式な照会が必要)
資金が最終的に着金した取引所資金の凍結・返金の可否(判断するのは取引所と捜査機関)
経路上の各トランザクションハッシュ(第三者が検証可能)ミキサー等を経由して経路が途切れた先

実際の調査では、どこまで追跡できている?

ここまでは仕組みの話ですが、実際の事案ではどうなるのかも書いておきます。 以下は一般論ではなく、当社がこれまでに実施した調査から見えている傾向です。

CryptoTracer の調査で見えている傾向
項目傾向
取引所まで到達した割合およそ9割
停留(それ以上動かない)のまま終わった割合およそ1割
取引所に到達するまでのホップ数おおむね3〜10ホップ
入口になっているチェーンほとんどが Bitcoin または Ethereum
よく見られる資金の流れEthereum から TRON へブリッジされ、TRON上で取引所へ送られる

被害者が送金する時点では、国内取引所で扱いの多いビットコインやイーサリアムが入口になります。 その後、資金がTRONへ移されるケースが多いのは、TRON上のUSDTが送金手数料が安く流通量も多いため、 資金をまとめて動かす先として使われやすいことが背景にあると考えられます。

つまり、「送ったのはビットコインなのに、追跡の終点はTRONの取引所だった」ということが普通に起こります。チェーンをまたいだ時点で追跡をやめてしまうと、本来たどり着けるはずの取引所を見落とすことになります。

⚠ 上記の数字についてこれらは当社がこれまでに実施した調査から見えている傾向であり、統計的な標本調査の結果ではありません。 また「9割が取引所に到達する」ことは、9割の資金が返ってくることを意味しません。 到達先の取引所が判明しても、その先の手続き(口座の特定・凍結・返金)は捜査機関と取引所の判断によります。

追跡できないのはどんなとき?

全ての送金経路が取引所まで追跡できるとは限りません。資金が長期間動かないまま留まっている場合や、 複数のチェーンをまたいで移動する場合など、途中で追跡が止まることもあります。 その場合でも、「どこまで判明したか」を正確に記録しておくことには意味があります。

⚠ 「絶対に取り戻せます」という説明は虚偽です送金経路の調査は「資金がどこへ流れたか」を明らかにするものであり、資金そのものを取り戻す・凍結することを意味しません。 「必ず回収できる」「凍結します」と説明する業者には注意してください。詳しくは「まず何をすべきか」の記事もご覧ください。
自分で検証できるブロックエクスプローラー

調査報告書に記載されたトランザクションハッシュは、これらのサイトに貼り付ければ誰でも同じ結果を確認できます。 手法を開示せず「独自技術」とだけ説明する報告書は、第三者が検証できない点に注意してください。

執筆・監修

小野田泰久

株式会社ベスト 代表取締役 / CryptoTracer 運営責任者

仮想通貨(暗号資産)詐欺の送金先追跡調査に従事。 本記事の内容は、公開されているブロックチェーン情報と、 実際の調査で確認した送金経路の傾向にもとづいて記載しています。 資金の回収・返金や、送金先の持ち主の氏名・住所の特定は行っていません。
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送金先の追跡を相談・依頼する

トランザクションハッシュと送金先アドレスがあれば、オンラインで調査を依頼できます。1件¥9,800、最短翌日。 申し込む前に、自分のケースが調査できるかをLINEで相談することもできます(相談は無料です)。