コラム|なりすまし

実在の証券会社を名乗る投資詐欺とは?金融庁が警告した詐称28件

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結論

実在の証券会社や投資会社の名前、さらには本物の登録番号までかたって投資を勧誘する業者が相次いでいます。関東財務局は2024年6月から2026年7月までに、こうした「商号等の詐称」について28件の警告を公表しました。

28件のうち19件は登録番号を表示し、11件は「高速取引行為者」の名前を使って、IPO(新規公開株)の配分に関与できるかのような虚偽の説明をしていました。登録番号が本物でも、相手が本物とは限りません。会社の公式サイトに載っている連絡先に、自分で問い合わせて確認してください。

SNSで「外資系証券会社の担当者」を名乗る相手と知り合い、新規公開株の特別な配分があると勧められる。案内されたサイトには財務局の登録番号も載っている——こうした手口が増えています。この記事では、財務局の警告から見えた傾向と、本物かどうかの確かめ方をまとめます。

証券会社の「商号等の詐称」とは?

金融商品取引業の登録を受けた実在の会社の名前(商号)や登録番号を、無関係の業者や人物が勝手に名乗ることです。財務局は、こうした業者を「不明(〇〇の商号等を詐称)」という形で警告・公表しています。名前を使われた会社は、被害を受けている側です。

証券会社の名前をかたる詐欺に、金融庁・財務局はどれくらい警告している?

関東財務局が公表した「商号等の詐称」の警告(2024年6月〜2026年7月、当社集計)
項目件数
警告の件数28件(うち2025年以降が26件)
勧誘の場所SNS 13件、ウェブサイト 12件、ウェブサイトとSNSの両方 3件
登録番号を表示していたもの19件
「高速取引行為者」の名前を使ったもの11件(いずれもIPOの配分に関与できるかのような虚偽の説明を伴う)
偽の「金融商品取引業者許可書」の画像を示したもの2件

件数は、関東財務局の「無登録で金融商品取引業等を行っている者に対する警告」の一覧と個別の公表資料をもとに当社が数えたものです。主な事例は次のとおりです。

商号等の詐称の主な事例(関東財務局の公表資料より)
警告日名前をかたられた会社手口出典
2026年7月22日高速取引行為者 Qube Research & Technologies Singaporeウェブサイトで社名と「関東財務局長(高速)第84号」などの登録番号を表示し、IPOの配分に関与していると虚偽の説明公表資料
2026年5月15日Schonfeld Strategic Advisors JapanSNSとアプリで「SSAJ」と表示し、登録番号入りの偽の「金融商品取引業者許可書」を示した公表資料
2026年4月17日キャンターフィッツジェラルド証券ウェブサイト・SNSで社名を表示し、「CF取引口座」などの架空のサービス名を使った公表資料
2026年3月26日BNPパリバ証券SNSで社名を表示公表資料
2026年1月29日アライアンス・バーンスタインSNSで社名と登録番号を表示公表資料
2025年12月19日高速取引行為者 Two Sigma Securitiesウェブサイトで日本向けにサービスを始めたかのように表示し、IPOの配分への関与をうたった公表資料
2025年8月28日ウェルズ・ファーゴ証券ウェブサイトで社名と登録番号を表示公表資料

「高速取引行為者」の名前がなぜ使われる?

高速取引行為者とは、コンピュータで株式などを高速・高頻度に売買する業者のための登録制度で、2018年4月に始まりました。登録を受けた業者には「関東財務局長(高速)第○○号」という登録番号が付きます。

財務局の公表資料は、高速取引行為者はIPO銘柄の配分に関与できないにもかかわらず、関与しているかのような虚偽の説明をしていたと明記しています。つまり「高速取引行為者だからIPOの特別枠がある」という話は、それ自体が成り立ちません。

悪用される理由について、公的な資料に説明はありません。当社の見方としては、一般にはなじみのない海外の会社名でも、登録番号が実在するため、調べると本物らしく見えてしまうことが利用されていると考えられます。

架空の会社名に、本物の登録番号をつけるケースもある?

あります。金融庁の無登録業者リストには、「DSE証券」と名乗る業者がウェブサイトに「関東財務局長(金商)第24号」と表示していた事例が載っています。この番号は、実在する「いちよし証券株式会社」の登録番号です。会社名と登録番号の組み合わせが一覧と一致するかまで確認しないと、見抜けません。

名前をかたられた証券会社や業界団体は何と言っている?

本物の証券会社かどうか、どう確かめる?

  1. 金融庁の「金融事業者一括検索」で、会社名や電話番号を調べる
  2. 登録番号が一覧と一致しても、それだけで安心しない(本物の番号をかたる事例が多数あります)
  3. 会社の公式サイトを自分で検索して開き、そこに載っている代表の連絡先に問い合わせる。SNSやメッセージで送られてきた電話番号やURLは使わない
  4. SNSで個別に勧誘してくる時点で疑う。アライアンス・バーンスタインのように、SNSで個別の勧誘をしないと明言している会社もあります
  5. 「IPOの特別な配分」「元本保証」「関係者だけの枠」をうたう話は断る
  6. 入金先が個人名義の口座や、担当者が指定する暗号資産のアドレスなら、その時点でやめる

証券会社を名乗る相手にお金を払ってしまったら?

  1. 相手のSNSアカウント、やり取り、案内されたサイトやアプリの画面、表示されていた登録番号を保存する
  2. 銀行振込の場合は、振込先の金融機関にすぐ連絡する
  3. 暗号資産で送った場合は、送金のTXIDと送金先のアドレスを控える(TXIDの確認方法)
  4. 名前を使われた会社の公式の窓口にも、勧誘の内容を伝える
送金先を調べたい方は、LINEでご相談ください

送金のTXIDや送金先のアドレス、やり取りの画面があれば、お金がどこへ送られたのかを調べられるかどうか、LINEでお答えします。「何を残せばいいか分からない」「TXIDの探し方が分からない」という段階でも構いません。

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この記事の情報について

この記事は、公的機関の公表資料、各サービスの公式サイトの表示、報道など、公開されている情報をもとにまとめたものです。利用者の声として紹介している内容は第三者の報告で、当社が個々の事実関係を確認したものではありません。記載内容の誤りのご指摘や、当事者の方からの訂正・削除のご依頼は、お問い合わせからご連絡ください。確認のうえ対応します。

証券会社を名乗る投資詐欺のよくある質問

証券会社の登録番号が表示されていれば本物ですか?

本物とは限りません。関東財務局が2024年6月から2026年7月までに警告した「商号等の詐称」28件のうち、19件は登録番号を表示していました。会社の公式サイトに載っている連絡先に、自分で問い合わせて確認してください。

SNSで外資系証券会社の担当者から連絡が来ました。本物ですか?

疑ってください。実在の証券会社の名前をかたってSNSで勧誘する事例が多数警告されており、アライアンス・バーンスタインのように、SNSで個別の勧誘はしないと明言している会社もあります。

高速取引行為者がIPOの配分をしてくれると言われました。本当ですか?

本当ではありません。財務局の公表資料は、高速取引行為者はIPO銘柄の配分に関与できないと明記しています。こうした説明をする相手は、実在の会社の名前をかたっている可能性が高いと考えてください。

執筆・監修

小野田泰久

株式会社ベスト 代表取締役 / CryptoTracer 運営責任者

仮想通貨(暗号資産)詐欺の送金先追跡調査に従事。 本記事の内容は、公開されているブロックチェーン情報と、 実際の調査で確認した送金経路の傾向にもとづいて記載しています。 資金の回収・返金や、送金先の持ち主の氏名・住所の特定は行っていません。
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