仮想通貨詐欺コラム|被害回復

自動売買ソフトで仮想通貨は儲かる?「AIが運用」の勧誘と登録の関係

公開日:

結論

金融庁は、「自動売買ソフトを使えば、なにもしなくても儲かる」といった勧誘を、FXや暗号資産の投資を一方的に勧めてくる例として挙げています。国民生活センターの事例には、知人に誘われて自動売買ソフトの購入を申し込み、50万円相当の暗号資産を海外の送金先に送ったが、もうからなかったものがあります。

金融庁の監督指針は、投資分析ソフトの販売について、「誰でも、いつでも自由に購入できる」場合は登録が不要としつつ、販売業者から継続的に投資情報等の提供を受ける必要がある場合などは、登録が必要になり得ると整理しています。当社が確認した範囲で、「AIの自動売買」を名指しして詐欺と断定した公的な文書は見当たりませんが、「AIが自動で運用」は、JVCEAが挙げる詐欺の誘い文句の1つです。

「AIの自動売買ソフトを使えば、何もしなくても毎月利益が出る」——副業やSNSで、こうした話を持ちかけられる人がいます。この記事では、金融庁の監督指針、国民生活センターの事例、JVCEAの注意喚起を当社が直接確かめて、勧誘の見分け方と、登録との関係を整理します。

自動売買ソフトを売るのに、金融庁の登録は必要?

金融庁の監督指針(投資助言・代理業関係)は、登録が不要な行為と、登録が必要になり得る場合を分けて書いています。当社が2026年10月16日に、原文のページを確認しました。

投資分析ソフトの販売と、投資助言・代理業の登録(金融庁の監督指針の整理)
場合登録の扱い
販売店の店頭販売や、ダウンロード販売などで、誰でも、いつでも自由に購入できる状態にある登録は要しない(投資分析のアルゴリズム・機能等から判断して購入できる場合)
ソフトの利用にあたり、販売業者等から、継続的に投資情報等に係るデータ・その他のサポート等の提供を受ける必要がある登録が必要となり得る
会員登録等を行わないと、投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)登録が必要となることに、十分に留意する、とされている
インターネット等を利用して、個別・相対性の高い投資情報等を提供する不特定多数が対象でも、登録が必要となり得る

つまり、「ソフトを売っているだけ」でも、ソフトが買い手ごとの投資の判断や、継続的な情報の提供を伴う場合は、投資助言の登録が必要になり得るというのが、金融庁の整理です。個別の案件が、登録の対象になるかどうかは、当社は判断できません。

なお、令和8年7月15日に成立した金融商品取引法等の改正法の説明資料には、暗号資産を投資対象とする投資運用行為や投資助言行為を、投資運用業・投資助言業の対象として規制することが書かれています。施行の時期は、当社が確認した範囲で確定しておらず、現行法で、暗号資産そのものの自動売買の運用や助言がどう扱われるかは、当社は原文で確認していません。

「自動売買ソフトで儲かる」という勧誘は、公的機関は何と言っている?

金融庁は、「FX取引・暗号資産投資の勧誘にご注意!!」で、次のように書いています。

JVCEA(日本暗号資産等取引業協会)も、詐欺の手口として、「『AIが自動で運用』『プロが監修』『成功者の声』など、もっともらしい説明で信じ込ませようとします」と書いています(専門用語や偽の実績で、信頼感を演出する手口)。

国民生活センターには、どんな事例がある?

国民生活センターが公表した、自動売買・AI投資に関する相談事例
受付契約者内容
2023年5月(2024年1月23日公表)20歳代男性知人に誘われ、副業グループの話を聞きに行った。「グループが販売している暗号資産の自動売買ソフトを使えばもうかる。グループで投資の勉強ができる」と言われ、グループへの参加とソフトの購入を申し込んだ。50万円相当の暗号資産を購入し、指定された海外の送金先に送付した。ソフトで売買したが、もうからず、信用できない
2021年12月(2022年8月4日公表)20歳代男性職場の同僚に「AIが判断して暗号資産に投資するシステムでもうかっている」と誘われ、セミナーでも契約を促された。消費者金融2社で借りた60万円を同僚に手渡した。最初は運用で増えている画面が見られたが、最近ログインできず、返金を求めても返金されず、連絡も取れない

国民生活センターは、SNSやマッチングアプリなどで知り合った面識のない相手から、暗号資産の投資を勧められた際は、詐欺的な投資話を疑うよう呼びかけ、「被害を回復することは極めて困難です」と書いています。事例では、知人や同僚からの紹介でも、同じ問題が起きています。

「自動売買」の勧誘は、どんな流れで進む?

公的機関の事例から、共通する流れを整理すると、次のようになります(当社の整理です)。

  1. 知人・同僚・SNSの相手から、「AIの自動売買で儲かる」と誘われる
  2. セミナーや、グループの勉強会に連れて行かれ、契約を促される
  3. ソフトの購入と、グループへの参加が、セットになっている。支払いは暗号資産を、指定された海外の送金先に送ることが多い
  4. 運用で増えているという画面が見られるが、その画面は運営側が表示しているもの
  5. ログインできなくなる、連絡が取れなくなる、紹介料のために人を勧誘するよう促される
⚠ 当社の見解「AIの自動売買ソフトで、何もしなくても儲かる」と言われ、ソフトの購入と暗号資産の送金を求められたら、当社は、その時点で詐欺の可能性が高いと考えます。利益を保証できる自動売買はありません。画面に表示される運用成績は、実際の運用を示す証拠にはなりません。特に、「知人からの紹介」と、「人を勧誘すると紹介料」がセットの場合は、止まってください。登録の確認は、仮想通貨詐欺の見分け方にまとめた手順で行ってください。

自動売買の話を持ちかけられたとき、何を確かめる?

  1. 誰が勧誘しているか。知人でも、その人自身が、ソフトの運営元と何の関係があるのかを確かめる
  2. ソフトの販売元・運営元が、登録を受けているか。金融庁の登録一覧や、金融事業者一括検索で確かめる(ソフトの機能によっては、投資助言の登録が必要になり得る)
  3. 「必ず」「何もしなくても」「AIが」という言葉が出ていないか。出たら、止まる
  4. 支払いが、暗号資産で、海外の送金先に指定されていないか。送ってしまうと、取り戻すのは困難
  5. 借金をして買うよう勧められていないか。事例には、消費者金融での借入れを勧められたものがある

この記事で確認できなかった点は?

すでに購入・送金してしまったら?

  1. 追加の購入・送金をしない。「ソフトの更新のため」「アップグレードのため」と言われても払わない
  2. ソフトの購入画面、契約書、勧誘者とのやり取り(LINE・SNS・メール)、運用画面を、削除せず画像で保存する
  3. 借金で支払った場合は、契約内容を整理して保存する
  4. 暗号資産で送った場合は、送金のTXIDと送金先のアドレスを控える(TXIDの確認方法)。銀行振込の場合は、振込先の金融機関に連絡する
  5. 「取り戻せる」と後から連絡してくる相手に注意する(二次被害の記事)。返金の仕組みは返金の記事にまとめています
送金先を調べたい方は、LINEでご相談ください

送金のTXIDや送金先のアドレス、やり取りの画面があれば、お金がどこへ送られたのかを調べられるかどうか、LINEでお答えします。「何を残せばいいか分からない」「TXIDの探し方が分からない」という段階でも構いません。

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友だち追加のみで、こちらから電話をかけることはありません。ご相談は無料ですが、資金の回収・返金をお約束するものではありません。

参考

2026年10月16日時点の公開情報にもとづいています。国民生活センターの事例は、2021年・2023年に受け付けたものです。改正法は成立済みですが、施行日は当社が確認できていません。

自動売買ソフトの勧誘に関するよくある質問

「AIの自動売買ソフトで儲かる」という勧誘は、詐欺ですか?

すべてが詐欺とは言えませんが、当社は、詐欺の可能性が高いと考えます。金融庁は、「自動売買ソフトを使えば、なにもしなくても儲かる」という勧誘を、一方的な投資の勧誘の例に挙げています。国民生活センターの事例には、50万円相当の暗号資産を送ったが、もうからなかったものがあります。

自動売買ソフトを売るのに、金融庁の登録は必要ですか?

金融庁の監督指針は、誰でも、いつでも自由に購入できる投資分析ソフトの販売は登録不要としつつ、販売業者から継続的に投資情報等の提供を受ける必要がある場合や、会員登録をしないと利用できない場合などは、登録が必要になり得ると整理しています。個別の判断は、この記事ではできません。

知人から勧められた自動売買ソフトでも、疑うべきですか?

当社は、同じ基準で確かめることをお勧めします。国民生活センターの事例は、知人や同僚から勧められたもので、50万円相当の暗号資産の送付や、消費者金融で借りた60万円の手渡しにつながっています。紹介者が信頼できる人でも、仕組みと運営元の登録は確かめてください。

運用画面では利益が出ています。信用していいですか?

運用画面の数字は、運営側が表示するもので、実際の運用を示す証拠にはなりません。国民生活センターの事例では、最初は運用で増えている画面が見られたものの、のちにログインできなくなり、連絡も取れなくなっています。

執筆・監修

小野田泰久

株式会社ベスト 代表取締役 / CryptoTracer 運営責任者

仮想通貨(暗号資産)詐欺の送金先追跡調査に従事。 本記事の内容は、公開されているブロックチェーン情報と、 実際の調査で確認した送金経路の傾向にもとづいて記載しています。 資金の回収・返金や、送金先の持ち主の氏名・住所の特定は行っていません。
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