仮想通貨のマルチ商法とねずみ講の違いは?特商法と無限連鎖講防止法
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ねずみ講(無限連鎖講)は、法律で全面的に禁止されています。開設・運営だけでなく、加入することも、加入を勧誘することも禁止です。一方、マルチ商法(特定商取引法の「連鎖販売取引」)は、それ自体は禁止されていませんが、勧誘でうそをつく・威迫するなどの行為が禁止され、法律で決められた書面を受け取った日から20日間はクーリング・オフができます。
国民生活センターと金融庁には、「人に紹介すれば報酬」と誘われて暗号資産の投資話に加わり、消費者金融で借金して払った、という相談が寄せられています。警察庁は、セミナーを開いて連鎖的に出資者を増やした事件を、金融商品取引法違反(無登録営業)や出資法違反で検挙しています。紹介で広がる投資話は、特商法だけでなく、金融の法律の問題にもなります。
「友だちを2人紹介すれば、元が取れる」「上の人には、紹介の報酬が入る」——暗号資産の投資話が、知人やSNSを通じて広がることがあります。それはマルチ商法なのか、ねずみ講なのか。この記事では、e-Govの条文と、消費者庁・国民生活センター・金融庁・警察庁の資料をもとに、2つの違いと、勧誘されたときに確かめる点を整理します。
ねずみ講(無限連鎖講)とは?法律で何が禁止されている?
「ねずみ講」は、法律では「無限連鎖講」と呼ばれ、「無限連鎖講の防止に関する法律」で定義されています。要点は、加入者が無限に増えることを前提に、先に入った人が、後から2倍以上の倍率で増えていく加入者の出した金品から、自分が出した額を上回る金品を受け取る「金品の配当組織」です。
法律の目的(第1条)には、無限連鎖講が「終局において破たんすべき性質のもの」で、「加入者の相当部分の者に経済的な損失を与える」と書かれています。加入者が無限に増え続けることはないため、どこかで新しい加入が止まり、その時点で後から入った人の多くが損をする仕組みです。
| 行為 | 条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 開設する・運営する | 第3条・第5条 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり) |
| 業として、加入を勧誘する | 第3条・第6条 | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 加入を勧誘する | 第3条・第7条 | 20万円以下の罰金 |
| 加入する・助長する | 第3条 | 禁止(罰則の規定はなし) |
第3条は「何人も」と書いており、運営者だけでなく、加入することも、知人を誘うことも禁止しています。誘った側にも罰則があります。なお、法律の定義は「金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む)」としています。暗号資産で出し合う仕組みがこの「金品」に当たるかについて、当社は公的な解釈を確認できていません。
マルチ商法(連鎖販売取引)とは?ねずみ講との違いは?
マルチ商法は、特定商取引法で「連鎖販売取引」として規制されています(第33条)。消費者庁の特定商取引法ガイドは、「他の人を勧誘して入会させると1万円の紹介料がもらえます」などと誘い(この利益を「特定利益」)、取引の条件として1円以上の負担(「特定負担」)をさせる取引だと説明しています。商品だけでなく、サービス(役務)を売るものも含まれます。
| 項目 | ねずみ講(無限連鎖講) | マルチ商法(連鎖販売取引) |
|---|---|---|
| 法律 | 無限連鎖講の防止に関する法律 | 特定商取引法 |
| 中身 | 後から入る人が出した金品を、先に入った人が受け取る配当組織 | 商品・サービスの販売に、紹介の報酬(特定利益)を組み合わせた取引 |
| 取引そのもの | 禁止(開設・運営・加入・勧誘のすべて) | 禁止ではない。勧誘・広告・書面に規制 |
| 勧誘での禁止行為 | 勧誘すること自体が禁止 | うそ・重要事項を故意に告げない・威迫・目的を隠した誘い出し(第34条) |
| 解約 | — | 書面を受け取った日から20日以内のクーリング・オフ(第40条)、中途解約(第40条の2) |
国民生活センターは、「マルチ商法」という言葉は、特定商取引法の「連鎖販売取引」とは必ずしも一致しないと注記しています。「ネットワークビジネス」「紹介制度」など、呼び名はさまざまです。呼び名ではなく、紹介の報酬で誘ってお金を出させる中身があるかを見てください。
仮想通貨のマルチ・ねずみ講は、どんな形で勧誘される?
国民生活センターは、2019年に、商品ではなく、投資や副業などの「役務」を売るマルチ(「モノなしマルチ商法」)の相談が、若者で増えていると注意を呼びかけました。友人やSNSで知り合った人から、暗号資産(仮想通貨)や海外事業への投資の儲け話を「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘され、契約したものの、仕組みがよく分からず、解約や返金の交渉も難しいというケースが多いとしています。紹介された事例は、次のようなものです。
- 中学時代の友人に誘われ、「海外の不動産に投資すれば、仮想通貨で配当がある」「投資者を紹介すれば紹介料を受け取れるので、借金の返済は簡単」と説明され、消費者金融4社から約130万円を借りて、代金を友人に手渡した(国民生活センター)
- 妻が暗号資産のマルチ取引に誘われ、消費者金融から借り入れて参加したが、業者が破産した。利益が得られないまま借金だけが残った(金融庁・消費者庁・警察庁)
- 息子が暗号資産を使った投資話のマルチに引っ掛かったようだ。サラ金に借金して出資している(金融庁・消費者庁・警察庁)
国民生活センターに寄せられたマルチ取引全体の相談は、2023年度5,158件、2024年度4,132件、2025年度4,003件です(PIO-NETの登録分、2026年7月31日更新)。暗号資産に関するものだけの件数は、このページには出ていません。
仮想通貨の「紹介報酬つき投資」は、どの法律の問題になる?
紹介で広がる暗号資産の話は、マルチ(特商法)か、ねずみ講(無限連鎖講防止法)かだけでなく、出資を集める行為として、金融の法律の問題にもなりえます。警察庁は、利殖勧誘事犯(投資や利殖をうたう事犯)を、出資法違反、金融商品取引法違反、無限連鎖講防止法違反などに係る事犯と定めています。
警察庁の令和7年の資料には、全国でセミナーを開くなど「連鎖的に勧誘する方法」で会員制事業への出資者を増やし、高い配当を受けられると勧誘して、約1万5,000人と約66億円の出資契約を結んだ事件が載っています(暗号資産の事件ではありません)。この事件は、金融商品取引法違反(無登録営業)、出資法違反(預り金の禁止)などで検挙されました。後から入る人のお金で配当を払う仕組みについては、ポンジ・スキームの記事で説明しています。
仮想通貨の投資話で、紹介報酬を示されたら何を確かめる?
- 報酬の出どころ: 「紹介料」「上位者への配当」が、商品やサービスの売上からなのか、後から入る人の出したお金からなのか。説明できない話は避ける
- 勧誘に先立つ明示: 特商法は、連鎖販売取引の勧誘の前に、統括者の名前、勧誘が目的であること、商品・サービスの種類を告げるよう定めています。勧誘の目的を告げずに呼び出し、公衆の出入りする場所以外の場所で契約を勧めることも禁止されています(第34条第4項)
- 書面: 連鎖販売取引では、契約前の概要書面と、契約時の書面を渡す決まりがあります。クーリング・オフの20日は、法律で決められた書面を受け取った日から数えます
- 登録: 暗号資産の運用・出資をうたうなら、金融庁・財務局の登録の有無を確かめる(仮想通貨詐欺の見分け方)
- 借金をすすめられていないか: 国民生活センターと金融庁の相談例では、消費者金融から借りて払っています。「借りてもすぐ返せる」は、断る理由です
この記事で確認できなかった点は?
- 暗号資産で出し合う仕組みが、無限連鎖講防止法の「金品」に当たるかについての、公的機関の解釈
- 暗号資産に関するマルチ取引だけの相談件数(国民生活センターの公表は、マルチ取引全体の件数です)
- 暗号資産を扱う連鎖販売業者に対する、消費者庁の行政処分の例(当社の検索では特定できませんでした)
- 個別の団体・商品がマルチやねずみ講に当たるか(この記事は、条文と公的資料の整理で、個別の案件は扱っていません)
仮想通貨のマルチ・ねずみ講に払ってしまったら?
- 追加の支払い・送金と、知人への勧誘をやめる。「紹介すれば取り戻せる」と言われても、応じない
- 契約書・概要書面、勧誘のやり取り(LINE・SNS)、説明資料、報酬の画面を、削除せずに保存する
- 連鎖販売取引に当たる場合、書面を受け取った日から20日以内なら、書面か電磁的記録でクーリング・オフができます。期間と方法はクーリング・オフの記事にまとめています
- 暗号資産で送った場合は、送金のTXIDと送金先のアドレスを控える(TXIDの確認方法)。銀行振込で払った場合は、振込先の金融機関にすぐ連絡する
- 「取り戻せる」と後から連絡してくる相手に注意する(二次被害の記事)
送金のTXIDや送金先のアドレス、やり取りの画面があれば、お金がどこへ送られたのかを調べられるかどうか、LINEでお答えします。「何を残せばいいか分からない」「TXIDの探し方が分からない」という段階でも構いません。
LINEで無料相談友だち追加のみで、こちらから電話をかけることはありません。ご相談は無料ですが、資金の回収・返金をお約束するものではありません。
- e-Gov法令検索「無限連鎖講の防止に関する法律」 — 第1条(目的)、第2条(定義)、第3条(禁止)、第5条〜第7条(罰則)。2026年11月3日確認
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」 — 第33条(連鎖販売取引の定義)、第34条(禁止行為)、第40条(クーリング・オフ)、第70条(罰則)。2026年11月3日確認
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「連鎖販売取引」 — 特定利益・特定負担の解説、氏名等の明示、中途解約。2026年11月3日確認
- 国民生活センター「友だちから誘われても断れますか?若者に広がる『モノなしマルチ商法』に注意!」 — 2019年7月25日。暗号資産への投資を紹介報酬で誘う相談と事例。2026年11月3日確認
- 国民生活センター「マルチ取引」 — 2026年7月31日更新。年度別の相談件数。2026年11月3日確認
- 金融庁・消費者庁・警察庁「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」(PDF) — 令和2年4月24日最終更新。暗号資産のマルチ取引の相談例。2026年11月3日確認
- 警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(PDF) — 令和8年3月(4月10日訂正)。利殖勧誘事犯の定義と、連鎖的な勧誘で出資を集めた検挙事例。2026年11月3日確認
2026年11月3日時点の公開情報にもとづいています。条文は e-Gov の現行のもの、表は当社が条文と消費者庁の解説から整理したものです。
仮想通貨のマルチ商法・ねずみ講に関するよくある質問
マルチ商法とねずみ講の違いは何ですか?
ねずみ講(無限連鎖講)は、後から入る人の出した金品を先に入った人が受け取る配当組織で、無限連鎖講防止法で開設・運営・加入・勧誘のすべてが禁止されています。マルチ商法(連鎖販売取引)は、商品やサービスの販売に紹介の報酬を組み合わせた取引で、特定商取引法で勧誘や書面が規制されますが、取引そのものは禁止されていません。
ねずみ講に誘われて加入しただけでも、法律違反になりますか?
無限連鎖講防止法の第3条は、何人も無限連鎖講に加入し、または加入を勧誘してはならないと定めています。罰則は、開設・運営した人、業として勧誘した人、勧誘した人に定められており、加入だけの人への罰則の規定はありません。知人を誘うと、勧誘した人として罰金の対象になりえます。
仮想通貨のマルチに払ったお金は、クーリング・オフできますか?
特定商取引法の連鎖販売取引に当たり、店舗によらずに取引する個人であれば、法律で決められた書面を受け取った日から20日以内は、書面または電磁的記録でクーリング・オフができます。クーリング・オフについてうそを言われたり、威迫されたりして期間内にできなかった場合は、改めて書面を受け取った日から20日間できます。
紹介報酬つきの暗号資産の投資話は、すべて違法ですか?
紹介報酬があることだけで違法とは限りません。ただし、後から紹介で段階的に増える加入者の出したお金が、先に入った人への配当になる仕組みであれば、無限連鎖講に当たるおそれがあります(暗号資産で出し合う場合の扱いは、公的な解釈を確認できていません)。元本保証で出資を集めれば出資法に、無登録で投資の出資を募れば金融商品取引法に触れるおそれがあります。警察庁は、連鎖的な勧誘で出資を集めた事件を、金融商品取引法違反や出資法違反で検挙しています。
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