仮想通貨詐欺コラム|被害回復

上場前の仮想通貨で何倍に?プレセール・ICOの勧誘を公的資料で確認

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結論

「上場すれば何倍にもなる」と、まだ取引所に上場していない暗号資産を勧められる勧誘は、金融庁が「ICO(トークンセール)」の相談事例や、「詐欺的な投資勧誘」の例として注意しています。勧誘文句の例として、金融庁は「上場確実ですので、必ず儲かります!元本も保証します!」を挙げています。

金融庁の相談室には、「必ず値上がりする、高配当と勧められてICOの暗号資産を買ったが、未だに上場が実現していない」という相談があります。ホワイトペーパーに書かれたプロジェクトが実施されなかったり、約束された商品やサービスが提供されなかったりするリスクがあり、ICOに便乗した詐欺もある、というのが金融庁の説明です。「プレセール」という言葉は、公的資料では「ICO・トークンセール」に当たると、当社は整理しています。

「まだ上場していない仮想通貨を、今のうちに買えば、上場後に何倍にもなる」——SNSやメッセージアプリで、こうした話を持ちかけられる人がいます。この記事では、金融庁・国民生活センターなどの公表資料を当社が直接確かめて、勧誘の特徴と、確認すべき点を整理します。

プレセール・ICOとは、何のこと?

金融庁は、ICO(Initial Coin Offering)を、「一般に、企業等が電子的にトークン(証票)を発行して、公衆から資金調達を行う行為の総称」と説明し、「トークンセールと呼ばれることもあります」と書いています。当社が確認した範囲では、「プレセール」という語を使った金融庁・日本暗号資産等取引業協会の注意喚起は、見当たりませんでした。一般に使われる「プレセール」は、公的な資料では、ICO・トークンセールにあたる、と当社は整理しています。

ICOでは、一般に、資金の使い道や、実施するプロジェクトの内容、トークンの販売方法などをまとめたホワイトペーパーが作られます。ただし、ホワイトペーパーは、誰でも作れる文書で、内容が実現される保証はありません。

「上場前に買えば何倍にもなる」という勧誘は、公的機関は何と言っている?

金融庁の「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」には、勧誘文句の例として、次のものが載っています。

同じページの相談例には、「知り合いに勧められ、海外の会社のICOに投資したが、投資金を運用せず、どこに行ったかわからない」があります。また、金融庁・消費者庁・警察庁の連名の注意喚起では、消費生活相談の事例として、「資産を40倍に増やすことができる、必ず上場する暗号資産への投資話が、メッセージアプリを通じて届いた」が挙げられています(令和3年4月7日最終更新)。

上場しないとき、どうなる?

金融庁の相談室には、次の相談事例があります。

金融庁の相談室の事例と、アドバイス
項目内容
相談事例インターネットやセミナー等で、必ず値上がりする、高配当が得られると勧められ、ICOで発行された暗号資産を買ったが、未だに上場が実現していない
アドバイス(1)一般に、ICOではホワイトペーパーが作られるが、掲げたプロジェクトが実施されなかったり、約束された商品やサービスが実際には提供されないリスクがある
アドバイス(2)ICOに便乗した詐欺の事例もある

「上場する」と言われたことは、上場の約束ではありません。取引所に上場するかどうかは、取引所の審査などによって決まり、勧誘した人が決められることではありません。

国民生活センターには、どんな事例がある?(2018年)

国民生活センターが2018年4月に公表した資料には、30歳代男性の事例(2018年2月受付)が載っています。年が古いので、年を明記して紹介します。

  1. 知人から、SNSを展開する海外事業者を紹介され、ICOに参加するよう勧誘された
  2. その事業者のセミナーで、「4月に仮想通貨の上場を予定しており、早く参加した方がよい」と説明された
  3. 知人の紹介者に、約100万円を渡した。契約書や領収書はない
  4. SNSでは「全額保証する」と言われたが、受け取る予定の仮想通貨は流通していない
  5. 事業者の所在地は海外で、メールを送っても返信がない

国民生活センターは、このような勧誘について、勧誘された仮想通貨や投資が実在するかどうか明らかでなく、値上がりの理由や、高配当の仕組みが不明確なものがあり、勧誘の文言に「AI(人工知能)」「仮想通貨のマイニング」「ICO」という話題性のあるキーワードが使われていると分析しています。知人や、信頼できる人からの紹介であっても、同じ注意が必要です。

法律は、どう変わる?

金融審議会のワーキング・グループは、令和7年12月の報告で、発行者自身による暗号資産の販売にも、ICOで生じていた詐欺的な販売を抑止するため、引き続き暗号資産交換業の登録を必要とすべきと提言しました(これは、報告の提言で、法律そのものではありません)。

また、金融庁の資料によると、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律は、令和8年4月10日に提出され、令和8年7月15日に成立しました。説明資料には、無登録業に対する罰則を、拘禁刑3年から10年に引き上げることなどが書かれています。施行の時期は、当社が確認した範囲で確定していません(「公布から1年以内」を基本とする幅のある記載でした)。今すぐ、すべての勧誘が規制される、という意味ではありません。

⚠ 当社の見解「必ず上場する」「元本も保証する」と言って、上場前の暗号資産の購入を勧められたら、当社は、その時点で詐欺の可能性が高いと考えます。上場の約束も、元本の保証も、勧誘した側にできることではないためです。ホワイトペーパーがあることや、ウォレットを作ってくれることは、実在や上場の根拠になりません。登録の有無は、仮想通貨詐欺の見分け方にまとめた手順で確かめてください。

上場前の暗号資産を勧められたとき、何を確かめる?

  1. 勧誘してきた相手が、日本で登録を受けているか。金融庁の登録一覧や、金融事業者一括検索で確かめる
  2. ホワイトペーパーの内容が、実際に実施されているか。運営者の名前・所在地・連絡先が確かめられるか
  3. 「必ず」「確実」「元本保証」という言葉が出ていないか。出たら、その時点で止まる
  4. 契約書や領収書が出るか。「紹介者に渡してください」と、第三者に現金や暗号資産を預けるよう言われたら、止まる
  5. 勧誘が、知人や紹介者からでも、同じ基準で確かめる。紹介料や、人を紹介するとマージンが入る話にも注意する

この記事で確認できなかった点は?

すでに購入・送金してしまったら?

  1. 追加の購入・送金をしない。「上場に間に合わない」「追加の費用が必要」と言われても払わない
  2. ホワイトペーパー、契約書、紹介者とのやり取り(SNS・LINE・メール)、サイトの画面を、削除せず画像で保存する
  3. 銀行振込で払った場合は、振込先の金融機関にすぐ連絡する。暗号資産で送った場合は、送金のTXIDと送金先のアドレスを控える(TXIDの確認方法)
  4. 「取り戻せる」と後から連絡してくる相手に注意する(二次被害の記事)。返金の仕組みは返金の記事にまとめています
送金先を調べたい方は、LINEでご相談ください

送金のTXIDや送金先のアドレス、やり取りの画面があれば、お金がどこへ送られたのかを調べられるかどうか、LINEでお答えします。「何を残せばいいか分からない」「TXIDの探し方が分からない」という段階でも構いません。

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友だち追加のみで、こちらから電話をかけることはありません。ご相談は無料ですが、資金の回収・返金をお約束するものではありません。

参考

2026年10月16日時点の公開情報にもとづいています。国民生活センターの事例は2018年のものです。改正法は成立済みですが、施行日は当社が確認できていません。

上場前の暗号資産・プレセールの勧誘に関するよくある質問

「上場前の仮想通貨を買えば、上場後に何倍にもなる」と勧められました。本当ですか?

当社は、詐欺の可能性が高いと考えます。金融庁は、勧誘文句の例として「上場確実ですので、必ず儲かります!元本も保証します!」を挙げ、ICOで買った暗号資産が上場しない相談があることを説明しています。上場の約束も元本の保証も、勧誘した側にできることではありません。

プレセールとICOは、同じですか?

当社が確認した範囲では、「プレセール」という語を使った公的機関の注意喚起は見当たりませんでした。金融庁は、ICOを、企業等がトークンを発行して公衆から資金調達を行う行為の総称で、トークンセールとも呼ばれると説明しています。プレセールは、これにあたると当社は整理しています。

ホワイトペーパーがあれば、信用できますか?

できません。金融庁は、ホワイトペーパーに掲げられたプロジェクトが実施されなかったり、約束された商品やサービスが提供されないリスクがあり、ICOに便乗した詐欺もあると説明しています。文書があることは、実現や上場の根拠になりません。

知人から紹介された投資でも、断るべきですか?

当社は、同じ基準で確かめることをお勧めします。国民生活センターの2018年の事例には、知人の紹介から約100万円を渡し、契約書も領収書もなく、連絡が取れなくなったものがあります。紹介者が信頼できる人でも、勧誘の内容は確かめる必要があります。

執筆・監修

小野田泰久

株式会社ベスト 代表取締役 / CryptoTracer 運営責任者

仮想通貨(暗号資産)詐欺の送金先追跡調査に従事。 本記事の内容は、公開されているブロックチェーン情報と、 実際の調査で確認した送金経路の傾向にもとづいて記載しています。 資金の回収・返金や、送金先の持ち主の氏名・住所の特定は行っていません。
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