仮想通貨詐欺コラム|被害回復

USDT(テザー)詐欺とは?投資詐欺で使われる理由と凍結の仕組み

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結論

USDT(テザー)は、米ドルと同じ価値をめざして発行される暗号資産(ステーブルコイン)で、それ自体は詐欺ではありません。ただ、価格が動きにくく、送金の手数料が安いことから、投資詐欺の送金先として悪用されています。国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、TRON上のUSDTが東南アジアの詐欺組織や資金洗浄に好まれていると報告しています。

発行元のTether社は、利用規約で、USDTを凍結できると定めています。同社は、法執行機関の要請に応じて凍結していると発表しています。ただし、凍結されることと、被害者にお金が戻ることは別です。「凍結を解除するための手数料」を求められても払わないでください。

SNSで知り合った相手や投資サイトに「入金はUSDTで」「USDTに両替してから送って」と言われた——。USDTとは何なのか、なぜ詐欺で使われるのか、送ってしまったUSDTは凍結できるのか。当社は、Tether社の利用規約と発表、国連と金融庁、警察庁の資料を直接確かめて整理しました。

USDT(テザー)とは、どんな暗号資産?

USDTは、Tether社が発行するステーブルコインです。利用規約では、Tetherトークンを「法定通貨の1単位を参照する、Tetherが発行・償還するデジタルトークン」と定義しています。米ドル建てのUSDTは、1USDTが1米ドルを参照するトークンです。

2026年2月26日更新の利用規約によると、発行者はTether International, S.A. de C.V.(旧Tether International Limited)で、英領バージン諸島からエルサルバドルに本拠を移したとされています。USDTは、イーサリアムやTRONなど、複数のブロックチェーン上で発行されています。

Tether社から直接USDTを発行・償還してもらう条件(同社の利用規約・手数料表より)
項目内容
発行・償還を受けられる人Tether社の認証を済ませた顧客だけ(利用規約 第4.1条)
償還されたお金の振込先本人名義の銀行口座
最低の取得・償還額10万米ドル
認証手数料150米ドル相当(返金なし)
償還手数料1,000米ドルか0.1%の、大きい方

つまり、一般の個人がUSDTを手に入れたり手放したりするのは、Tether社とではなく、取引所や個人どうしの取引になります。詐欺の被害でも、USDTは取引所で買わされたり、相手に直接送らされたりします。

USDTは、日本の登録業者で扱われている?

金融庁は、法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインの仲介などを業として行うことを「電子決済手段等取引業」などと説明しています。登録一覧の注意書きにも、電子決済手段等取引業者は金融庁・財務局への登録が必要とあります。

金融庁「電子決済手段等取引業者登録一覧」(令和8年8月27日現在)
登録番号業者名取り扱う電子決済手段
関東財務局長 第00001号SBI VCトレード株式会社USDC、RLUSD、JPYSC
関東財務局長 第00002号コインチェック株式会社USDC

令和8年8月27日現在の一覧に、USDTは載っていません。当社が確かめた範囲では、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年9月30日現在)の「取り扱う暗号資産」の欄にも、USDTは見当たりませんでした。電子決済手段の一覧には「電子決済手段の持つ話題性を利用したり、電子決済手段等取引業の導入に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください」とも書かれています。登録業者かどうかの確かめ方は、仮想通貨詐欺の見分け方の記事でまとめています。

⚠ 「USDTに両替してあげる」という個人や業者に注意SNSで「円をUSDTに両替してあげる」「USDTを円にして振り込む」と持ちかける相手は、上の登録一覧に載っている業者ではありません。国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書は、USDTと法定通貨を交換する地下の両替が、資金洗浄の仕組みの一部になっていると指摘しています。両替を名目に円を振り込ませたり、USDTを先に送らせたりするやり方は、お金を失うきっかけになります。

投資詐欺で、USDTが使われるのはなぜ?

国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、2024年1月の報告書で、TRONのブロックチェーン上のUSDTが、価値が安定していること、送金が簡単で匿名性があり、手数料が安いことから、東・東南アジアのサイバー詐欺組織と資金洗浄者の双方に好まれるようになった、と書いています。地域の法執行機関や金融情報機関も、USDTを組織犯罪グループが最もよく使う暗号資産の一つとして報告している、とされています。

金融庁も、2026年7月の資料で、国際的な基準づくりを行うFATFの報告書を紹介し、ステーブルコインのマネー・ローンダリングなどへの悪用は増加傾向にあると書いています。価値が安定していることから、規制された業者を通さないウォレットどうしの取引(P2P取引)に使われる可能性も指摘されています。

日本の被害でも、暗号資産での送金は少なくありません。警察庁によると、令和8年上半期(暫定値)のSNS型投資詐欺のうち、暗号資産で送らされた「暗号資産送信型」は1,288件、被害額は約128.4億円で、認知件数の21.9%でした。ただし、警察庁の資料には、USDTなど銘柄ごとの内訳は載っていません。被害の全体像はSNS型投資詐欺の記事で整理しています。

送ってしまったUSDTは、凍結できる?

Tether社の利用規約には、Tetherトークンを凍結すること、Tetherトークンを保有するアドレスをブラックリストに載せること、利用者に知らせずに政府や法執行機関に報告することができる、という定めがあります。USDTは、発行元が凍結できる仕組みを持つ暗号資産です。金融庁が紹介したFATFの報告書でも、ステーブルコインの発行体に、凍結・焼却の機能などのリスク低減策が推奨されています。

Tether社は2026年4月23日の発表で、65か国の340を超える法執行機関と協力し、2,300件を超える事件を支援して、44億ドルを超える資産の凍結につながったとしています(同社が発表した数字で、当社は検証していません)。同じ発表では、法執行機関と協力して、要請に応じて資産を凍結すると説明しています。

⚠ 被害者が自分でTether社に頼んで凍結される、とは書かれていません当社が確認した範囲では、Tether社の公開資料に、被害者個人の依頼で凍結する手続きは見当たりませんでした。同社が説明しているのは、法執行機関からの要請にもとづく凍結です。取引所の凍結と同じく、被害者が連絡しただけで相手のUSDTが凍結されることは期待できません(取引所の凍結の仕組み)。

凍結されたUSDTは、被害者に戻る?

凍結は、相手がUSDTを動かせなくするものです。凍結されたことと、そのUSDTが被害者に返されることは別の話です。Tether社は2026年2月25日、「pig butchering」と呼ばれる投資詐欺に関連して、米国土安全保障省が6,100万ドル相当のUSDTを回収したことに協力したと発表しています。ただ、この発表には、被害者にどう分配されたかは書かれていません。

日本の被害者にとっては、凍結されたUSDTが返ってくる公的な仕組みや手順を示した資料は、当社が確認した範囲では見当たりませんでした。「凍結されたUSDTを取り戻せる」と持ちかける業者には注意してください(二次被害の見分け方)。

⚠ 「あなたのUSDTが凍結された。解除には手数料が必要」は詐欺の言い回しです投資サイトの画面上で「USDTが凍結された」「解除のための保証金を」と言われることがあります。当社が確認した範囲では、Tether社の利用規約に、利用者が手数料を払えば凍結が解除される、という定めはありません。そもそも投資サイトに表示されている残高が本物とは限りません(出金に税金や手数料を求められる手口)。

USDTの詐欺について、この記事で確認できなかった点は?

USDTを送ってしまったら、今すぐやることは?

  1. 追加の送金をやめる。「凍結解除の手数料」「出金のための税金」と言われても払わない
  2. 送金のTXID(トランザクションID)と、送金先のアドレスを控える。USDTはどのブロックチェーン(TRON・イーサリアムなど)で送ったかも書き留める(TXIDの確認方法)
  3. USDTを買った取引所の取引履歴と、送金の記録を保存する
  4. 相手とのやり取り(LINE・Telegramなど)、投資サイトのURLと画面を、消される前に保存する
  5. 銀行振込で払った分がある場合は、振込先の金融機関にすぐ連絡する
送金先を調べたい方は、LINEでご相談ください

送金のTXIDや送金先のアドレス、やり取りの画面があれば、お金がどこへ送られたのかを調べられるかどうか、LINEでお答えします。「何を残せばいいか分からない」「TXIDの探し方が分からない」という段階でも構いません。

LINEで無料相談

友だち追加のみで、こちらから電話をかけることはありません。ご相談は無料ですが、資金の回収・返金をお約束するものではありません。

参考

2026年11月3日時点の公開情報にもとづいています。Tether社の数字は同社の発表で、当社は検証していません。USDTやTether社、TRONを詐欺と述べるものではありません。

USDT(テザー)の詐欺と凍結に関するよくある質問

USDT(テザー)は詐欺のコインですか?

USDT自体は、Tether社が発行する米ドル連動のステーブルコインで、詐欺のコインではありません。ただ、価値が安定し、送金の手数料が安いことから、投資詐欺の送金先として悪用されています。国連薬物犯罪事務所は、TRON上のUSDTが東南アジアの詐欺組織に好まれていると報告しています。

詐欺師に送ったUSDTは、凍結してもらえますか?

Tether社の利用規約には、USDTを凍結できる定めがあり、同社は法執行機関の要請に応じて凍結していると発表しています。一方で、被害者個人の依頼で凍結する手続きは、当社が確認した範囲では公開されていません。まずは送金のTXIDと送金先のアドレスを控えてください。

USDTが凍結されたら、お金は戻ってきますか?

凍結は相手がUSDTを動かせなくするもので、被害者に返されることとは別です。凍結されたUSDTが日本の被害者に返される公的な仕組みや手順を示した資料は、当社が確認した範囲では見当たりませんでした。「取り戻せる」と持ちかける業者には注意してください。

日本の取引所でUSDTは買えますか?

金融庁の電子決済手段等取引業者登録一覧(令和8年8月27日現在)には、SBI VCトレードとコインチェックの2社が載っていますが、取り扱う電子決済手段はUSDCなどで、USDTは載っていません。暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月30日現在)の取扱い銘柄の欄にも、USDTは見当たりませんでした。SNSで「USDTに両替してあげる」と持ちかける相手は、登録業者ではありません。

執筆・監修

小野田泰久

株式会社ベスト 代表取締役 / CryptoTracer 運営責任者

仮想通貨(暗号資産)詐欺の送金先追跡調査に従事。 本記事の内容は、公開されているブロックチェーン情報と、 実際の調査で確認した送金経路の傾向にもとづいて記載しています。 資金の回収・返金や、送金先の持ち主の氏名・住所の特定は行っていません。
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トランザクションハッシュと送金先アドレスがあれば、オンラインで調査を依頼できます。1件¥9,800、最短翌日。 申し込む前に、自分のケースが調査できるかをLINEで相談することもできます(相談は無料です)。

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